読書録 / 映画録

おすすめ邦画・火宅の人の感想~駄目男なのにどこか憎めない人間の性を描いた作品

最近、深作欣二や五社英雄などの80年代の邦画にはまりました。

古い映画独特のざらっとした画も素敵だし、日本らしい奥ゆかしい表現とか、人情やどうしようもない業の深さ、綺麗で品のある女優さんたちと渋くて色気のある俳優さん、昔の日本の暮らしなど、大好物の要素しかなくて、これ絶対好きになるやつだ!と思いました。

私
今回は、ハマるきっかけになった『火宅の人』について紹介したいと思います。

この映画の内容を端的に言えば、「色ボケした中年作家が家族を捨てて愛人のもとに走る物語」です。

どうしようもない駄目人間を描いた作品なのだけど、人間の抱える業の深淵を覗いているような気持になる(原作は檀一雄の同名の私小説らしい)。

主人公の桂は、五人もの子供を抱えているにも関わらず(しかもそのうちの一人は障碍がある)、女優の卵の若い女性と浮気をし、石神井にある家族の住む家を出て浅草の安アパートで彼女と同棲生活を始めてしまう。

女性を振り回す悪い駄目男なのだが、浮気したことを妻に馬鹿正直に話してしまったり、子どもたちには慕われていたり、障碍のある次男を施設へ送る時に悲痛な表情を見せたりと、何だか憎めないところがある。

物語の後半、自分と同様に過ちを犯した男に対して優しい眼差しを注ぐシーンが好きだ。

人間ってやつはどうしようもないし、いたずらに人を傷つけるし、傷つけあうし、なかなか分かり合えないものだけれど、それでもなぜか愛おしい。

私
「駄目なおっさんだなあ」と呆れながらも緒形拳演じる桂の放つくたびれた色気にいつの間にか虜になってしまう、そんなちょっと危険な映画です。あと、原田美枝子さんや松坂慶子さんら美人女優さんたちの濡れ場がたくさんあって、ちょっとどきどきしてしまいます!
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