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人の心はU字曲線を描く。新しい環境に慣れるまで無理はしないで!

私は現在日本語を教えているのですが、そのために一通り日本語教育もかじりました。日本語の知識だけでなく、言語学・心理学・社会学・歴史など多岐に渡っていて、新しい発見がたくさんあって面白かったです。

その中で、リスガードが提唱した「U字曲線」を知りました。これは、新しい環境に飛び込んだ時に起こる人間の心理状態を表している曲線です。

日本で日本語教師として働く場合、祖国を離れ来日した外国人の生徒さんを相手にするので、心のケア的な意味でも知っておくべき内容なのでしょう。

以下では、適応のU字曲線について簡単にまとめました。

リスガードのU字曲線について

【第一期:ハネムーン期】

見る物すべてが新鮮に感じられ、楽しい時期。短期の旅行の場合、このハネムーン期しか経験しないから、楽しいわけです。

【第二期:カルチャーショック期】

ハネムーン期とは打って変わって、慣れてくることにより嫌な部分も見えてきて幻滅する時期。頑張り過ぎた疲れも出てくる頃です。

【第三期:適応期】

ショック期にあった心の葛藤が収束し、段々適応できるようになる時期。この過程に至るまで、だいたい半年から一年くらいかかります。

いわゆる五月病も、このU字曲線で説明ができます。

四月の時点では「よし、やってやる!」とやる気に満ち溢れていますが、ゴールデンウィークが明けると中だるみし、やる気もどんどんなくなっていきます。

でも、しばらく時間が経てばそこそこやる気も復活し、普通に日常生活を営めるようになります。

適応のU字曲線、フランス留学した私の場合

フランスに来た当初は、やっぱり何もかも刺激的で楽しかったですね。

でも、しばらく経つとなかなか言葉が通じなかったり、日本と違うことが多すぎて疲れたり、日本が少し恋しくなったりしました。

とはいえ、私の場合ショック期はそれほど長くなかったですし、カルチャーショック自体もあまり深刻ではありませんでした。

半年くらい経つ頃には、適応期を迎えていたように記憶しています。

自分で言うのもなんですが、私は「まあこういうものか」と文化の違いを受け入れることができたので、何とかなったのでしょう。

逆に言うと、「絶対こうじゃなきゃダメ!」とこだわりが強ければ強いほど、他文化や新しい状況をなかなか受け入れられなくなってしまいます。

海外生活に適応するためには、日本で身につけた「常識」をある程度疑ってみる必要があると思います。海外にいると、日本ではありえないことの連続です。

  • スーパーのレジでガム噛みながらレジ打ちなんてありえない!
  • 電車が時間通りに来ないなんてありえない!
  • 駅にトイレがないなんてありえない!
  • どこもかしこもストライキばっかりなんてありえない!
  • 一年に五週間も休めるなんてありえない!(まあこれは良いことですね)

などなど。

まるきり海外の知識がないと面食らってしまうので、ある程度その国の日常についてネットや本などで知っておけば、実際目の当たりにした時のショックも和らぎます。

「おおこれが例のやつか!」と逆に楽しめるくらいになれば、カルチャーショック期も長引かないで済むと思います。

震災・災害時にも人の心はU字曲線を描く

海外生活だけでなく、震災・災害時にもU字曲線の理論は当てはまります。ここ最近も日本では、大阪の地震や九州・中国地方の大雨による災害がありましたね。

震災災害直後は「皆で頑張ろう」と一丸となって助け合い、暖かな雰囲気が流れますが、なかなか問題が解決しないとストレスを感じ、気分も塞いでしまいます。

でも、ある程度時間が経てばその状況にも慣れ、「日常」が戻ってきます。

各段階への移行のタイミングは人それぞれ

ハネムーン期、ショック期、適応期への移行は個人差があるので、ショック期が短い人もいれば長びいてしまう人もいます。

「頑張ろう」と思っても気持ちがついていかない場合もあるので、「今は気分が落ち込んでいるけれど、そのうちきっと元通りになるよね」と焦らないことが大切です

大変な状況の中にいる人には「頑張れ!」という言葉をかけたくなりますが、人には頑張りたくても頑張れない心理状態の時があります。

また、新しい環境や状況の中でどうしても気分が落ち込んでしまう時は、無理に自分を奮い立たせるのではなく、「今自分の気持ちはU字のボトム部分にあるから、元気が出ないのも仕方ないんだ」と自分で自分の精神状態を認めてあげると少し楽になると思います。

この記事が、少しでもお役に立てば幸いです。