日本語・日本語教育

お疲れ様は英語で何と言う?外国語に訳しにくい日本語7つ

私は現在、フランスでフリーの日本語教師をしています。日本語にはフランス語や英語に直訳できない表現も多いので、生徒さんに理解させるのに苦労することもあります。

今回は、外国人に説明しにくい日本人独特の表現と、私がいつも生徒さんにしている説明をご紹介しましょう。

その1.お疲れ様

英語やフランス語には同様の言い回しはありません。

私の場合、「あなた・私達はたくさん勉強(仕事)しましたね(英語:You/We worked hard / フランス語:Vous/Nous avez bien travaillé)」といったように訳していますが、部活や職場などで「こんにちは」「さようなら」の代わりに使われることもあると伝えています。

その2.いただきます・ごちそうさま

フランス語にも「Bon appétit(ボナペティ)」という食前の挨拶があるのですが、「いただきます」よりも「召し上がれ」に近い表現です。例えばレストランの店員さんが料理を運んで来た時、「Bon appétit(ボナペティ)」とお客さんに言います。

一方、「いただきます」と「ごちそうさま」はどちらも食事に対する感謝の意味がありますね。「いただく」は謙譲語で「もらう(Receive)」の意味があるので、英語で「Receive with modesty(フランス語では recevoir humblement)」と訳しています。

「ごちそうさま」は、「本当に素晴らしい料理でした」みたいに、料理を作ってくれた人やご馳走してくれた人に向けて使うこともあると生徒さんに伝えています。

その3.よろしくお願いします

日本ではお馴染みの表現ですが、英語やフランス語には訳しにくいんですよね…。

私はフランス人と結婚したのですが、母に「娘をよろしくと旦那さんに伝えて」と言われた時、それはフランス語にうまく訳せないと伝えたら母は驚いていました。

「よろしくお願いします」は色々な場面で使われるので、場面によって訳し方も変わります。

お互い初めて会った時

「お会いできて嬉しいです」

英語:Nice to meet you

フランス語:Je suis ravie de vous connaître.(ジュ スイ ラヴィ ドゥ ヴ コネートル)

これから一緒に仕事をすることになった時

「一緒にお仕事できて嬉しいです」

英語:I'm excited to work with you.

フランス語:Je suis heureux de travailler avec vous.(ジュ スイ ウールー ドゥ トラヴァイエ アヴェク ヴー)

何かお願いする時

英語:Please

フランス語:S'il vous plaît(シルヴプレ)

メール文末の「よろしくお願いします」

「ご協力お願いします(直訳すると「あなたのご協力、事前に感謝します」)」

英語:Thank you for your cooperation in advance.

フランス語:Merci d'avance pour votre coopération.(メルシ ダヴァンス プール ヴォートル コーペラシオン)

~さんによろしくお伝えくださいと言う時

直訳すると、「~さんにこんにちはと言ってください」

英語:Please say hello to ...

フランス語:Dites bonjour à ... de ma part.(ディットゥ ボンジュー ア … ドゥ マ パー)

その4.人称

英語もフランス語も人称の種類はかなり限られていますが、日本語は人称のバリエーションがとても豊かです。場面や性別、年齢、性格によって認証を使い分ける習慣があるのも日本語の特徴です。

ビジネスなどオフィシャルな場での一人称は「私」を使っていても、プライベートでは「俺」「僕」「うち」「あたし」「○○(自分の名前)」など他の人称を使っている人もたくさんいます。

また、一人称だけでなく二人称もたくさんありますね。でも、マンガやアニメによく出てくるのは「お前」「貴様」「てめえ」「あんた」など、普段使いにくい二人称が多いですね(^^;

比較的マイルドな「あなた」「君」でも日本人はあまり使わないので、「日本語では「あなた」などの二人称を実際の会話で使うことは稀で、その人の名前が分かれば「〇〇さん」と名前で呼びます」と生徒さんに伝えています。

その5.先輩

英語圏やフランス語圏の国では上下関係はそれほど厳しくないので、「先輩」という概念が存在しません。アニメやマンガで、欧米人なのに先輩後輩にこだわるキャラを見ると、かなり違和感を感じます。

意味を指導する時は、「学校や職場で、自分より年上の人に対してリスペクトの意味を込めて使う」と伝えています。

その6.~てくれる・~てもらう・~てあげる

日本人は無意識レベルで使っていますが、この表現も英語やフランス語に存在しません。

  • 「~てくれる」は「自分以外の誰かが自分にとって嬉しいことをした時」に使う
  • 「~てもらう」は「~てくれる」と意味的にほぼ同じだが、主語は自分
  • 「~てあげる」は自分が他の誰かのために行動する時に使う。ちょっと恩着せがましいニュアンスがある。同義語の「~てやる」の方が「~てあげる」よりぞんざいな感じ。

こうしてみると、結構複雑ですよね。母語にない表現なので、日本語を学ぶ外国人が苦労するポイントです。

その7.迷惑の受け身

「この本は有名な作家によって書かれた」

「ねずみは猫に食べられた」

といった文は普通の受け身ですが、日本語には「迷惑の受け身」というものが存在します。

「雨に降られた」

「妹にプリンを食べられた」

などがそれに当たります。「降る」は自動詞なので本来受身形にならないはずですが、自分が不快に感じた場合は受身形で表現するのです。

細かいニュアンスを伝えるのに優れている日本語

日本語には英語やフランス語で説明しにくい部分もたくさんありますが、日本語は感謝の気持ちを表現したり、感情を表現したりするのに優れた言語なのです。我々日本人は無意識レベルで使っているので普段あまり深く考えませんが、意識してみれば言葉遣いや考え方も変わるかもしれませんね。